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東京地方裁判所 昭和42年(借チ)3006号 決定 1968年9月05日

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔決定理由〕

理由

一 申立人は沼田良穏所有にかかる別紙目録第二記載の建物(本件建物)に対してなされた抵当権実行に基づく競売手続において、本件建物を競落しその所有権を取得した(昭和四二年三月二二日競落許可決定があり、同年八月一五人申立人は競落代金九〇〇万千円を支払つた)。

本件建物の敷地である別紙目録記載の土地(本件土地)は、相手方の所有であり、沼田は相手方から本件土地を非堅固建物所有の目的で賃借していたものである。

そこで、申立人は本件建物の競落に伴ない、本件土地に対する借地権の譲渡を受けることになるので、相手方に対し、その承諾を求めたところ、相手方から金三〇〇万円の支払いを要求された。申立人は、右金額は多額に過ぎるとして、本件申立てをした。

二 本件資料によれば、右の事実のほか、次のとおりに認めることができる。

1 前記沼田を賃借人とする本件土地の賃借権の存続期間は、昭和四二年末までであり、賃料は昭和四一年四月から一カ月3.3平方米あたり一〇〇円である。

2 申立人は、金融業及び不動産の売買等を業とする会社であるが、申立人が本件土地の借地権の譲渡を受けるが、相手方に不利益となるような特段の事情は認められない。

よつて、本件申立ては、これを認容するのを相当とする。

三 次に、附随の処分については、本件資料に現われた諸般の事情殊に鑑定委員会の意見及び相手方提出にかかる鑑定書並びに借地関係の従前の経緯を斟酌した上で、当裁判所は申立人に対し、相手方に金二〇〇万円の支払いを命じ、かつ、賃料を月額3.3平方米あたり金一三〇円に増額するのを相当と認める。(西村宏一)

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